『定命の者の食し方 ― 迸る思念を食す』『遭遇記録 ― テル・リイア・ミル・アン・アネ・イエ』完成

本当は4冊仕上げたんだけど、疲れたので編集するのめんどくさいです・・・。
人気ありそうな(?)2冊だけアップします。どちらもシリーズもので、『定命』はCT、『遭遇記録』はOLSのドロップ本です。


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『定命の者の食し方 ― 迸る思念を食す』


この本の題名は『定命の者の食し方 ― 迸る思念を食す』だ。アミグダランが獲物の心を食いつくす前にかける謎を集めたものらしい。


定命の者本来の味を引き出すには、皮膚の穴からアミグを出させなければならない。アミグは芋虫のような姿をしており、その味は体を覆う毛の色合いと同様、多岐にわたっている。そのため往々にして真の風味を味わうことなく食してしまいがちである。定命の者に話しかけるときには「逃げるチャンスがあるかもしれない」と常に思わせることが大切だ。激しい感情の揺れがアミグの味を極上のものにするからである。“大きな心”を持つものには以下に記す謎をかけるとよい。


注意: 毛虫になぞかけを出して、9触手秒の間に答えるよう告げる。5触手秒で次の質問を出し、時間が足りないという文句は黙殺する。そうすることで一段と味がよくなるだろう。


質問 ? 私は真っ黒の服を身にまとい、部屋の隅に隠れている。ランプはすべて消されている。あなたもたいまつなどは持っていない。しかし私が見える。なぜか? 


答え ?  昼間だったから。


質問 ?  A'natylanの母には3人の子供がいる。1人の名前はG'ylzanar、もう1人の名前はMy'aazcriz。ではもう1人の名前は?


答え ?  A'natylan


質問 ?  作った人も、買った人も使わない。使う人は、一切見たり触ったりできない。さて、それはどんなもの?


答え ?  かんおけ。


質問 ? 非常に大切なものだが、大事な約束をするときに切ってしまうものは?


答え ?  指。


質問 ?  私は常に空腹で、何も与えないと消えてしまう。わたしが舐めたものはすぐに赤くなる。私とは何?


答え ? 火。


質問 ? 朝になるとあなたの足元に現れる。いかに早く走ろうともあなたの後を追いかける。正午になると太陽にその姿のほとんどを消されてしまう。私とは何?


答え ? 影。


質問 ? 私に出会うとき、誰もが私のことを耳にしたことがあるという。しかし、あなたが私を呼ぶまで私は存在しない。私とは何?


答え ? こだま。


質問 ? 「」に当てはまる言葉は? すべての生者が命よりも大切にし、死よりも恐れるものは「」、貧しい者は何も持ってい「」、満ち足りた者が必要とするものは「」、満足した者が強く求めるものは「」。 ケチな者は何も浪費し「」、浪費家が節約しようとするものは「」。生者があの世へ持っていけるものは「」。


答え ? 「無い」。


もしあなたの食事がこれらの謎かけに正解してしまっても、間違いだと告げる。そして、なぞかけをやめると見せかけて、もう1度答えさせる。いい恐怖の味が出てくるまでこれを繰り返していく。


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『遭遇記録 ― テル・リイア・ミル・アン・アネ・イエ』

この奇妙な書物は時間を追って書き足されたものらしいが、どこの誰のことなのか、何についての話なのかはよくわからない。はじめは知らない体系の言語で書かれているのかというほどにさっぱりわけがわからなかったが、詳しく読み進めているうちに少しずつ意味が通ってきた。あいにくページの多くが本から破り取られている。本の表紙には2単語だけの題名があって、『遭遇記録 ― テル・リイア・ミル・アン・アネ・イエ』となっている。


トリレイン30章127節 ― “そして大気は台風の目で満ち、クリスタルは砕け始めるであろう。雹がつどい降りそそぐならば、時が近づいた徴である。”


トリレイン30章128節 ― “美しき者たちは集う、ただひとつの真のサイナリアン・クリスタルの下に。そして祝福の賛美歌を歌うであろう。浄めの肉桂を浴び、自由の印を与えられよう。”


トリレイン30章129節 ― “サイナリアン・クリスタルに従う者は報われる。黒き塔に従う者は呪われる。”


セプトレイン9章72節 ― “そして氷のテイレネスが崩れ、偽れる者たちの頭上に落ちかかるとき、商人も農民もタムに住む者もそれを逃れることはできないであろう。多数の歌は、少数の歌となるであろう。”


セプトレイン9章73節 ― “次に堕ちるはタルザロンの男である。かれの在るところ、クリスタルの歌は絶え、影は民人のあいだを意のままに歩むであろう。”


セプトレイン9章74節 ― “三つの月は暗く翳り、目のあるものはそれを見て終末の迫っていることを知るであろう。人々は偽りと知りつつも、黒き塔の中に慰撫を求めるであろう。”


セプトレイン9章75節 ― “そして終わりの夜が訪れ、紅玉の海は影の柱を吐き出すであろう。自由の祝福によって洗礼を受けた真の信仰者たちは、定命より解き放たれる。残されるのは、選ぶことをしなかった者たちのみである。”


セプトレイン9章76節 ― “影を受け入れた者には、光と闇との分離が訪れるであろう。この暗い時代にあって、選ぶことをしなかった者たちは、存在せぬ光によって消滅させられる。それが定めであるからである。”


セプトレイン9章77節 ― “影の者たちはその顔を現すであろう。それは勝利に大きく開かれた口である。絶望のオベリスクから最後の角笛が響きわたり、すべてのものに終末を告げる。闇が地の表を覆い尽くし、すべての者は何もわからなくなるであろう。”



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