『遭遇記録 ― ベロックス』『ローンサム・ホロウの影』完成

なかなか大変ですね。入手も困難なら修復もなかなか困難です。
さらにひどい話なんですが、ベロックスのほう、家に設置しても読めません(笑)。ひどすぎ。
たまたまログとってたのでそれを元にupします。
どちらも原本はオベリスク1Fの雑魚の宝箱からdrop、対象ゾーンもオベリスク1F(外・内部)です。
遭遇記録はまだまだ種類ありそうです。
さすがのOgamingも網羅しかねているみたいで、全部でいくつあるのかさっぱり。


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『遭遇記録 ― ベロックス』

この奇妙な書物は時間を追って書き足されたものらしいが、どこの誰のことなのか、何についての話なのかはよくわからない。はじめは知らない体系の言語で書かれているのかというほどにさっぱりわけがわからなかったが、詳しく読み進めているうちに少しずつ意味が通ってきた。あいにくページの多くが本から破り取られている。本の表紙には2単語だけの題名があって、『遭遇記録 ― ベロックス』となっている。


オベリスクが市場のまん中に出現したのは、ジャロウの日のことだった。巨大な黒いその姿は、あたりの建物すべてを圧して高くそびえ立っていた。首都ダロウズホロウの市民は最初、それを魔法による悪意のないいたずらだと思った。その誤りはあとになってわかったことだ。

King Adanはまず、魔法を心得た賢者たちを国中から呼び集めた。遠く近く、ナラギンの砂漠からも、無人地帯の空中ジャングルからも、賢者たちはやってきた。だが誰ひとりとして、オベリスクが何であり、どうやって現れたのか説明できるものはいなかった。

次にKing Adanが呼び集めたのは、あらゆるバードたち吟遊詩人たちだった。この不吉で巨大な物体について、何か伝説を知っている者はいないかと、王は彼らの物語るのを何時間も何時間も聞いたが、やはり魔法使いたちと同じことだった。

最後にKing Adanは天空神殿の神官たちを呼び出して、彼らの崇める戦いの神々から何かお告げがないかと訊いた。気の滅入るような死と破壊の言葉ばかりを語る神官たちに王はうんざりし、代々の王たちがこれら神官を荒野に追いやった理由を納得した。こうして、オベリスクの謎は誰にも解けぬままだった。



そして、夜な夜な市場には恐ろしい魔物が徘徊しているという通報が相次ぐようになった。悪夢から抜け出してきたような、という目撃談を耳にした良き王は市民を案じて、冒険者たちにそれらの魔物と戦うことを命じた。そんなある日、自分はオベリスクの秘密を知っていると称するUltor Szanvonが宮廷に現れた。



Ultorは王に向かい、謎を解くのは魔法でも神々でも伝説でもなく、王の先祖であると告げた。自分は死者と話すことができる、王にご先祖との対話をさせて差し上げようと申し出たのだ。万策尽きていた王は心を動かし、この見知らぬ者の言うことを聞いた。



そして続く1か月、王はUltorが死者の霊と話をし、知られざることを明らかにするのを見た。Ultorはその才覚と、王の相談役が相次いで死ぬという偶然により、宰相の地位までも手に入れた。最後にUltorは、ますます脅威となってきたオベリスクの謎を国の支配者が解き明かすときが訪れたと言ったのだった。

Chancellor UltorはKing Adanに、過去の王すなわち王統の父祖たちならばオベリスクの真実を知っていると言った。王はそれを信じて、従僕に命じて寝室から樫の箱を持ってこさせた。その中には高貴な血統の者だけが眠る墓所、“王の眠りの館”の鍵が入っていた。

霊廟までの長旅の準備を終え、王は宰相と2人きりで出発した。宰相の言によれば、高貴な血統でない者が墓所に入れば死せる昔の王たちの霊の怒りに触れるだろうからである。そこでUltorとKing Adanだけが、“王の眠りの館”に足を踏み入れた。


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『ローンサム・ホロウの影』


この本の題名は『ローンサム・ホロウの影』となっている。ある村を訪れた男が、村人たちの恐ろしい儀式を目撃してしまうという話だ。

以下の物語は私が父から聞いたものだ。父は祖父から聞いたという。私はもう先が長くないし、語り継ぐべき息子もいないので、今のうちに書き留めておこうと思う。そうすれば誰かがこれを伝えてくれるだろう。恐ろしい教訓が忘れられることのないように。

何年も昔のこと、ここから遠くない場所に集落があった。大都市から離れて暮らすことを選んだ人々が作った村で、外部との交流を避けていた。旅の者を泊める宿屋さえなかった。私の曽祖父Daramainはそこへ迷い込んだのだ。飢えたオオカミの群れに襲われて重傷を負い、かくまってくれるようにと村人たちに頼んだ。

彼はひどく出血しており、助けを求めて叫んだのに、村人は誰ひとり応えなかった。窓を閉めカーテンの陰から様子をうかがっているばかりで、誰も助けてくれようとはしない。彼がここで死ぬのだと覚悟を決めた時に、ひとりの若い女性が家から出てきて、彼の傷の手当てを始めた。

続く数週間のあいだその娘の看護を受けて、Daramainは次第に力を取り戻した。彼女はMarilithaと名乗った。そして満月の前に村を出ていってくれと彼が言い渡されたとき、その日までわずか数日しか残っていなかった。それを言った時の娘の目に怯えを見てとったDaramainは不安になった。

その夜彼が横たわっていると、下の広場から何か音が聞こえてきた。這うようにして窓のところへ行ってのぞいてみると、何人かの村人が作業しているのが見えた。木材で何か組み立てている。それは絞首台に似ていた。そしてその背後に、人の背丈くらいの奇怪な大理石の板が立っていた。Daramainにはその石板がどういう目的のものなのか見当もつかなかった。

Marilithaは毎日彼の健康状態をチェックし、もっと早く体力を取り戻すようにとせっつくのだった。満月の前夜には、どうしても出ていくようにと切迫した口調になった。今ではDaramainはむしろ彼女のことが心配になっていた。彼に話すときの目は恐怖に満ち、何か言いかけては口をつぐむばかりだったからだ。

今夜は満月という日、Marilithaは傷の手当てに来なかった。Daramainは彼女の警告を容れて、自分の持ち物をまとめ、果てしない平原を横切る長旅の決意を固めていた。だが彼がドアのところに行くと、鍵がかかっていた。彼の耳に彼女の警告がよみがえり、彼は思わず我を忘れそうになったが、体が弱っていてドアを叩き破ることができない。それでも目にはいる物はなんでも使い、持てる力をふり絞って彼はドアに挑んだ。ついに扉をこじ開けることができた時には、もう夜になっていた。

Daramainがよろめきながら家の外に出ると、満月の下で村人全員が集まり、例の絞首台のまわりを取り囲んでいるのが見えた。そしてロープに吊るされていたのはMarilithaだった。首は折れ、頭ががっくりと横向きに落ちていた。そして明るい月光を受けて石板の表面にくっきりと映ったその影を、村人の1人がなぞっているのだった。彼女の死体が下ろされても、影はそのまま残った。そしてひとりでに影は動き始めた。



するとMarilithaの死体も立ち上がり、自分の影と握手のようなことをして、群衆の中にもどった。その時になって、Daramainは気づいた。こうこうと月が照っているのに、村人たちには影がなかったのだ。彼らが屋根裏部屋に入ったとき、彼は何マイルも遠くまで逃げ去っていた。数か月が過ぎ、彼は大勢の自警団とともに、アンデッドを退治するために戻ってきた。しかし村は痕跡さえ残さずに消えていた。だがこれは本当の話なのだ。これを読んだあなたに警告する、その村は実在した。あの影の人々は今もまだ、どこかにいるのだ。


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